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台湾・屏東新屏店には行列も!台湾のリユース事情を現地ハードオフ社長に直撃インタビュー

2024年1月20日にオープンした、 HARDOFF TAIWAN 屏東新屏店(以下、新屏店)。こちらは日本ではなく台湾にある店舗で、台湾では4号店になります。

海外にあるハードオフ、すごく行ってみたい!
でも巡るには日本よりハードルが高いかも…

という皆さまへ、まずはこの記事で新屏店の詳細をたっぷりお届け。その後、「よし行ってみよう!」と、思っていただけたら嬉しいです。

▼HARDOFF TAIWAN 屏東新屏店の詳細はこちら
https://www.hardoff.co.jp/shop/detail/?p=321004

今回は、ハードオフの子会社である「ハードオフ台湾」の現地社長・源氏さんへインタビューしました。元々日本で働き、台湾出向時点ではほとんど中国語を話せなかった源氏さんが、どうやって店舗の経営を行ったのか。

「台湾と日本の店舗の違いは?」「台湾ならではの魅力」など、気になるポイントを詳しく聞いてきました!

本日は、よろしくお願いします!

HARDOFF TAIWAN 社長・源氏さん
大学時代は商学部で経営について学ぶ。2006年に入社し、初年度は東京の店舗に配属される。次に奈良の店舗へ移動し、3年間の店長経験を積む。その後は新潟や東京の店舗を任される。2018年8月に営業部長として台湾へ出向し、半年後に現地の社長に就任。 ※台湾の店舗はハードオフの子会社であるハードオフ台湾が運営

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https://twitter.com/TfWbeee

台湾へ行き、半年で現地社長に!当時の心境と苦労したこととは

ーーはじめに、源氏さんが台湾へ出向した当時の心境についてお聞きしたいです。

はい、私は2018年の8月に営業本部長として台湾へ出向しました。ただ、この時が初めての台湾ではありません。

同年3月に台湾の1号店がオープンするとのことで、現地に研修に行かせてもらったのが始まりです。この時に「台湾って、いい国だな」「台湾の店舗で働いてみたいな」という気持ちが生まれました。

そう思っていたらなんと、この願望が約半年で叶いました。

ーーもともと台湾出向に関しては意欲的だったのですね!中国語もかなり堪能と伺いましたが、得意だったのでしょうか?(※台湾の公用語は中国語)

全くそんなことはなくて、台湾へ行った当初は「ニーハオ」と「シェイシェイ」しか知りませんでした。

週に1回塾に行ってインプット。毎日仕事が終わった後に居酒屋へ行き、出会った台湾の人にランダムで話しかけてアウトプット。この繰り返しです。3年程経ったらストレスなく会話ができるようになりました。

ーー言語の壁はそのように乗り越えたのですね。次に台湾で店舗を経営する中で、苦労したことを教えてください。

台湾へ行き、「日本の常識は、世界では通用しない」ということに初めて気がつきました。私が持っている、今までの常識を捨てて、新しい考え方を理解することに苦労しました。

例えば、台湾で働く時の制度や文化など。加えて、台湾の制度や文化を踏まえて、日本のハードオフの文化をどのくらい反映させるのかも悩みどころではありました。

「得意分野はありません」そんな社長を支える現地スタッフとこだわり

ーー源氏さんの「得意部門」について詳しく教えてください。

実は、私には得意ジャンルというものはありません。基本的に自分は「できない人間」で、人より秀でている部分はあまりないと思っているんです。

ですが、それで良かったです。

理由は、私に足りない物を持った人が集まって、助けてくれるからです。だからこそ、当社のスタッフは優秀な人ばかりなんだと思います。

ーー「優秀なスタッフばかり」とお伺いしましたが、台湾のハードオフで働く方々はどんな人が多いですか?

基本的に皆さん元気で、笑顔が絶えない人ばかりです。

日本から台湾の店舗へ応援にきてくれるスタッフもいるのですが、皆さん口を揃えて「台湾のスタッフさんは、みんな明るいね」と言われます。国民性もあるのでしょうか。店舗に立っているときだけでなく、休憩中も本当に元気です。

加えて、楽器が好きな人・ブランド関係に詳しい人・ホビーに強い人など、スタッフの中には得意分野を持っている人がたくさんいます。

ーー台湾で働くやりがいや、こだわりを教えてください

明るいスタッフが多く在籍している、とお伝えしましたが、これもこだわりの一つです。

「仕事を楽しめる人の集団でありたい」と考えています。だからこそ、お客様との距離が近く、良好な関係を築けているのだと思います。

例えば、台湾のハードオフでは買取が終わった後、「シェイシェイ」と言って感謝の気持ちをお客様にお伝えします。その後に、「バイバイ」「また来てね」に近いやりとりもあるんです。

このお客様との距離が近いやりとりが、台湾独特であり、こだわりにしていきたい部分です。

ーー台湾のハードオフで、スタッフさんに「バイバイ」と言われてみたいですね…

ぜひいらっしゃってください。

もう一つこだわりたいのが、日本と同じようなハードオフを作るということです。台湾独自の良さは残しつつ、日本の店舗から見習わなければいけないことはあります。

例えば、日本と同じような、駐車場付きのハードオフを増やしていきたいです。台湾の国土は九州と同じくらいで、約2,300万人が暮らしています。そうすると人口密度が高く、空き地が少ないという特徴があります。

そのため、駐車場付きの物件を探すのがとても難しいんです。あったとしても、出店しにくい場所にあるとか。

一方で、上記のような困難があるということは、他社さんも参入しにくいということ。そんな中、私たちが出店に挑戦して結果を出していく、というのは今後のやりがいに繋がりますね。

2ヶ月のスピードで買取オープン!4号店ならではの魅力

ーー4号店となる新屏店がオープンした経緯について教えてください。

はい、始まりは台湾のハードオフを応援してくださっている方と、4号店があるカルフール(※)の大家さんとの繋がりがきっかけです。

「リユースの未来を拓く、時代の流れに合った企業とコラボレーションするのはすごく良い」という言葉をいただいて、4号店オープンの話が進みました。

※カルフールとは・・・外資系大型スーパー

ーーそのような経緯があったのですね。では、オープンに向けて最も大変だったことは何ですか?

契約してからオープンまでの期間が、とても短かったことですね。

カルフールの一角を賃貸する、という形で契約したのが2023年11月1日。オープンは2024年1月20日。さらに、買取オープンは2024年1月6日。

こんなスケジュールだったので、ほぼ2ヶ月でお店を完成させたことになります。

賃貸なのでエアコンや消防関係などある程度は揃っていたものの、もちろんお店に並べる什器や商品はない。商品は日本の店舗から取り寄せ、台湾の他3店舗からかき集めるなど、ものすごくハードでしたが、頑張りました!

ーーたった2ヶ月で!

そうなんです。ただ、頑張った甲斐はありました。

台湾にきてびっくりしたことの一つでもありますが、買取オープンをするとお客様の行列ができるんです。

実は日本だとあまり見ない現象で、台湾でのリユースに関する需要の高さを感じました。

ーーなるほど、リユースの需要が高い台湾で4つ目の店舗オープンになりますが、4号店ならではの魅力・ウリはありますでしょうか。

4号店は「屏東市」という、地方に属する地域にあります。そのため、買い物ができる場所が他と比べて少ないんです。

そんな地域に500坪の大きなリユースショップを出店したので、4号店は屏東市の方々にとってアミューズメント施設のように捉えられています

さらにお客様の店舗滞在時間がとても長いです。台湾のハードオフに対するお客様1人あたりの平均滞在時間が45分〜1時間。4号店は平均より長く、2時間くらい滞在してくださるお客様が多いように感じます。

お客様一人一人の滞在時間が長く、アミューズメント施設のようにお子様を連れたご家族が遊びに来てくださるという点は、4号店ならではの魅力です。

ーーお気に入りのコーナーがあれば教えてください。

ジャンクコーナーは、やはり人気です。日本でも青箱を漁るのが名物かと思いますが、台湾も同じです。やっぱりハードオフのジャンクコーナーは本当に特別で、唯一無二だと思います。

おそらく台湾には競合他社がいないですし、ジャンクコーナーは他では真似できないような面白みがたくさん詰まっていると感じるのでお気に入りです。

台湾と日本の店舗は、何が違う?

ーー今まで台湾の店舗を経営してきて、印象に残ったエピソードを教えてください。

1号店のグランドオープン当日、約5,000人のお客様が来てくれたのは印象に残っています。

11時オープンだったのですが、19時ごろまで入場制限をしていました。お店に入るまで1時間待ち、レジで1時間待ち、と、嬉しい反面お客様に対して申し訳ない気持ちにもなりました。

この経験を生かしてレジを増やしましたが、それでも行列になるので本当にありがたいです。

面白いのは、台湾の方が列に並ぶ時、そこらに転がっている石を拾ってきて列に並べるんです。「ここは私が並んでるから、抜かさないでね」と、石を置いて自分は他の場所に行くんです。

これも日本ではあまり見られないので、国民性ですよね。

ーー面白い国民性ですね。他に、台湾の店舗が日本と異なる点はありますか?

まず、営業時間が違います。日本のハードオフの一般的な営業時間は10時〜20時。一方で台湾は、11時〜22時までです。台湾の全ての店舗は20時を過ぎてからピークタイムになり、お客様が増えてきます。

日本は20時を過ぎるとほとんどお店にお客様がいなくなるのですが、台湾は夜型の人が多いようです。

それから、バイク文化があるのも台湾ならではです。オープン当初、駐車場を見るとバイクがありすぎて、バイク屋さんみたいになっていました。バイクに電子レンジなど大きいものを積んで帰ってくださる方もいます。

日本は車が一般的かと思うので、バイクを使って来店される方が非常に多いというのも違いです。

ーー商品の内容にも、日本との違いはあるのでしょうか?

海外特有の、変な日本語のTシャツがありますよ。

日本らしい商品はよく売り買いされる傾向にあります。壺や掛け軸、日本語が入っている商品、アニメ関連商品など。嬉しいことです。

ーー商品の話でいうと、日本では取扱商品ごとに店舗が分かれていますが、台湾は総合リユース(ハードオフ・オフハウス・ホビーオフが集約された)型店舗ですよね。

はい、その通りです。総合的であるからこその入りやすさもあり、ご家族揃って来店してくださる方が多い印象です。

ただ、先ほどもお伝えしましたように、各店舗には得意分野を持っているスタッフが多数在籍しています。総合的な面と専門性を持ち合わせているのが、台湾のハードオフの強みとも言えますね。

最後に、社長から日本のハードオフファンの皆さんへ

ーー最後に、今後の展望についてお伺いしたいです。

今後は様々な地域に出店していきたいです。特に台北。台北は台湾にとって象徴的な都市ではありますが出店ができていないので、挑戦していきたいと考えています。

その際には、総合的というよりも専門性を強化した店舗も検討できればと思っています。

ーー店舗周辺に住む皆さま、日本に住む皆さまへメッセージをいただきたいです。

台湾の方々は「リユース」というものを好きになってはくれていますが、まだまだ知名度が足りません。モノを捨てる前に、一度ハードオフに持ってきていただけたら嬉しいです。

また、台湾は日本から飛行機で3時間で着く、親日な国です。日本語が通じるお店もたくさんあります。治安も日本と同じくらいで、食事も日本人に合うものが多いです。

海外旅行の選択肢の一つとして、台湾はもってこいの国だと思いますので、ぜひいらっしゃってください。

▼HARDOFF TAIWAN 屏東新屏店の詳細はこちら
https://www.hardoff.co.jp/shop/detail/?p=321004

▼ハードオフ台湾 社長の公式 X(Twitter)はこちら
https://twitter.com/TfWbeee

取材日:2024年2月15日